おわら風の盆

おわら風の盆
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国宝「瑞龍寺」山門にて

立春から「二百十日」の台風を鎮め、五穀豊穣を願って九月一日から三日三晩「越中おわら節」にのせて踊り明かす「風の盆」が繰り広げられる。魅力は独特の哀調のある胡弓や三味線の音色、そして編み笠。顔が隠れて見えないところが趣があっていい。

毎年行われるこのおわら風の盆は、今も昔も多くの人々を魅了してやまない。涼しげな揃いの浴衣に、編笠の間から少し顔を覗かせたその姿は、実に幻想的であり優美である。

山々が赤くもえる夕暮れを過ぎると、家並みに沿って並ぶぼんぼりに淡い灯がともる。長い夜の町流しの始まりだ。唄い踊る、その町流しの後ろには、哀愁漂う音色に魅せられた人々が一人、また一人と自然につらなりだす。闇に橙色の灯が浮かび上がり、誰もがおわらに染まっていく。

昔の面影を残す街並に明かりがともる頃、どこからともなく聞こえてくる三味線、太鼓、胡弓の音、それに合わせて哀調をおびた唄声が流れはじめると、街道から路地裏から踊りの列が舞い揃う。ぼんぼりとまん幕で彩られた街に編笠の波が流れてゆく。「唄い手」「囃子方」「太鼓」「三味線」「胡弓」のそれぞれがおわら節独特のハーモニーを奏で、「踊り手」はそれに合わせ町中を踊り歩く。

新しい時代の息吹を吸収しながら生きるおわら風の盆は、これからも新しい変化を繰り返し、次の世代へと継承されていくことだろう。また、そう願わずにはいられない。

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